レカンフラワーの作り方|必要な材料・手順・乾燥時間を初心者向けに解説

レカンフラワーは、生花の色や形を生かしながら乾燥させ、作品として楽しむフラワーアートです。美しく仕上げるために最初に大切になるのが、花をきれいに乾燥させる工程です。花を乾燥させる段階で失敗すると、その後にどれだけ丁寧にデザインしても、色や形が美しく残りにくくなります。反対に、花の状態を見極め、適切に下処理をして乾燥できれば、レカンフラワー作品の仕上がりは大きく変わります。この記事では、初心者に向けて、レカンフラワー作りの第一歩である 花の乾燥方法 を解説します。

レカンフラワー作りは「花の乾燥」から始まる

レカンフラワーは、特殊な乾燥剤の中に花を埋め込み、花の形や色を生花に近い状態で立体的に乾燥させる技術で花を自然な姿に近い状態で乾燥させることが重要です。
一般的な自然乾燥では、花びらが縮んだり、色がくすんだりすることがあります。レカンフラワーでは、専用の乾燥剤の中に花を埋め込み、花の形を保ちながら水分を抜いていきます。この乾燥工程によって、花の立体感や色合いを生かした素材を作ることができます。

レカンフラワー作りの基本工程

レカンフラワーは、次の流れで作ります。

1. 花を選ぶ
2. 花の状態を整える
3. 花に合った下処理をする
4. ジュエルサンドパウダーで乾燥させる
5. 乾燥花を取り出す
6. 乾燥花を保管する
7. フレームやボックスにデザインする
8. 密封して作品に仕上げる

最初に意識したいのは、乾燥の前後が重要という点です。
花を乾燥剤に入れる作業だけに目が行きがちですが、実際には、花の選び方、花びらや茎の処理、乾燥後の保管、密封までが仕上がりを左右します。特に乾燥後の花はとても繊細です。湿気を吸ったり、指で強く触れたりすると、変色や破損の原因になります。


必要な材料と道具

レカンフラワー作りでは、花を乾燥させる道具と、作品に仕上げる道具を分けて考えると整理しやすくなります。


乾燥に必要な材料

生花

まず必要なのは、乾燥させる生花です。初心者は、傷みが少なく、花びらが比較的しっかりした花から始めると扱いやすくなります。おすすめしやすい花材は、次のようなものです。

  • バラ
  • ビオラ
  • アジサイ
  • マーガレット
  • デルフィニウム
  • 小花類
  • 花びら単体

反対に、水分が多い花、花びらが薄く破れやすい花、大きく厚みのある花は、下処理や乾燥方法に工夫が必要です。

ジュエルサンドパウダー

レカンフラワーの乾燥で中心になるのが、ジュエルサンドパウダーです。細かいパウダー状にした乾燥剤です。花をパウダーの中に埋めることで、水分を吸収し、花の形を保ちながら乾燥させます。細かい粒子のため、花びらのすき間にも入りやすく、凹凸の少ない仕上がりにしやすいのが特徴です。

乾燥ボックス

花をジュエルサンドパウダーに埋めるための容器です。密閉しやすく、花が重ならずに入る大きさのものを選びます。
浅すぎると花がつぶれやすく、深すぎると取り出しにくくなります。

ピンセット・筆・スプーン

花を扱うための道具です。乾燥前の花はもちろん、乾燥後の花は非常に壊れやすくなります。
指で直接つまむより、ピンセットや筆を使う方が安全です。

はさみ・カッターナイフ

茎や葉を整えたり、太い茎に切り込みを入れたりするために使います。茎の太い花は、そのまま乾燥させると水分が抜けにくくなります。必要に応じて、茎の裏側に切り込みを入れたり、厚みを減らしたりします。


作品化に必要な材料

乾燥した花を作品にするには、以下のような材料を使います。

  • フレーム
  • ボックス
  • ボトル
  • カード台紙
  • ペンダントやボールペンなどの小物キット
  • 接着剤
  • ピンセット
  • 乾燥剤シート
  • 脱酸素剤
  • 密封用の袋やシート

初心者は、いきなり大きな額装作品に挑戦するより、カード・小さなボックス・ボトル・小物作品から始めると作りやすくなります。


花を選ぶときのポイント

レカンフラワーをきれいに仕上げるには、乾燥方法より先に、花の選び方が重要です。

傷みのない花を選ぶ

花びらが傷んでいたり、茶色くなっていたりする花は、乾燥後もその部分が目立ちます。乾燥させるなら、次のような状態の花を選びます。

  • 花びらに傷が少ない
  • 変色していない
  • 花の中心が黒ずんでいない
  • 茎や葉が傷んでいない
  • 花の形が崩れていない

特に花の中心は、見た目より早く傷みが出ることがあります。
中心が茶色くなる前に乾燥させると、仕上がりがきれいになります。

咲き始めから満開手前の花が扱いやすい

完全に開ききった花は、花びらが落ちやすく、乾燥中に形が崩れることがあります。初心者は、咲き始めから満開手前の、形がしっかりした花を選ぶと扱いやすくなります。

花の大きさを作品に合わせる

小さな作品に大きな花を使うと、配置しにくくなります。逆に、大きなフレームに小さな花だけを使うと、作品が散漫に見えることがあります。乾燥させる前に、どのような作品に仕上げたいかを考えて花を選びます。


花の下処理

花をジュエルサンドパウダーに入れる前に、花の状態に合わせて下処理をします。下処理をせずに乾燥できる花もありますが、茎が太い花、水分が多い花、花びらが薄い花は、処理をした方が仕上がりが安定します。


茎の処理

茎が太い花は、水分が抜けにくいため、そのまま乾燥させると時間がかかったり、変色したりすることがあります。茎の裏側にカッターナイフで細く切り込みを入れると、乾燥しやすくなります。
目安として、1〜2mm程度の太さの茎は、裏面に切り込みを入れたり、皮を薄く削いだりして乾燥しやすい状態に整えます。

注意点

切り込みを入れすぎると、茎が折れたり、花が不自然に曲がったりします。
見える面ではなく、作品にしたとき目立ちにくい裏側を処理します。


花びらの間にパウダーを入れやすくする

バラやラナンキュラスのように花びらが重なっている花は、花びらの間にジュエルサンドパウダーが入るようにします。パウダーが外側だけにかかっている状態だと、内側に水分が残りやすくなります。作業のポイントは次の通りです。

  • 花の形を崩さない
  • 花びらの間に少しずつパウダーを入れる
  • 無理に開かない
  • 花の中心まで乾燥剤が届くようにする

大きな花は、花と茎を分けて乾燥させ、乾燥後に組み立てる方法もあります。


薄い花びらの処理

スイートピーやデルフィニウムのような薄い花びらは、ジュエルサンドパウダーが花びらに付きやすく、乾燥後に取り除きにくいことがあります。そのような花には、タルクを薄く使う処理があります。花びらの表面に薄くタルクをのせることで、パウダーが付着しすぎるのを防ぎやすくなります。
この処理はやや専門的なので、初心者は無理に行う必要はありません。薄い花びらを扱う場合は、最初は講座や体験で手順を確認する方が安全です。


赤や青系の花の処理

赤系や青系の花は、乾燥によって色が変化しやすいことがあります。特にアントシアン系の色素を持つ赤い花は、乾燥によって青みや黒みが出ることがあります。このような花には、赤花処理と呼ばれる色の変化を抑えるための処理があります。


基本の乾燥手順

ここからは、ジュエルサンドパウダーを使った基本の乾燥手順を説明します。


1. 乾燥ボックスにパウダーを敷く

乾燥ボックスの底に、ジュエルサンドパウダーを敷きます。底に直接花を置くと、下側がつぶれたり、乾燥剤が行き届かなかったりします。まず薄くパウダーの層を作り、その上に花を置きます。


2. 花を置く

花を乾燥ボックスに置きます。花同士が重ならないように間隔を空けます。花が密集していると、取り出すときに壊れやすくなり、乾燥にもムラが出ます。花の向きは、最終的な作品で見せたい形を意識して整えます。


3. 花びらのすき間にパウダーを入れる

スプーンや小さなカップを使って、花の上から少しずつジュエルサンドパウダーをかけます。一度に大量にかけると、花びらが押しつぶされることがあります。花びらの間にパウダーが入るように、少しずつ丁寧に作業します。バラのように花びらが重なっている花は、中心部までパウダーが入るようにします。


4. 花全体をパウダーで覆う

花が見えなくなるまで、ジュエルサンドパウダーで覆います。このとき、花の上に重さがかかりすぎないよう注意します。
パウダーを押し込むのではなく、自然に流し込むように入れます。


5. ふたをして乾燥させる

乾燥ボックスにふたをして、乾燥させます。常温で乾燥させる場合、ビオラ、アジサイ、マーガレットなどの小花は、目安として約1週間置きます。教材では、Kボックスの中で生花をジュエルサンドパウダーに埋め、常温で1週間ほど乾かす方法が基本として示されています。花の種類や大きさ、季節、室温、湿度によって乾燥時間は変わります。


6. 乾燥後に取り出す

乾燥が終わったら、花を取り出します。このとき、いきなり花を引き上げるのではなく、周囲のパウダーを少しずつ取り除きます。取り出すときのポイントは次の通りです。

  • ピンセットで強くつままない
  • 花びらの端を引っ張らない
  • 筆で余分なパウダーを払う
  • 壊れやすい花は下から支える

乾燥後の花は非常にもろいため、乾燥前と同じ感覚で扱うと破損しやすくなります。


乾燥時間の目安

レカンフラワーの乾燥時間は、花の種類や大きさによって変わります。以下は目安です。

花材乾燥時間の目安注意点
ビオラ・小花約1週間常温乾燥で扱いやすい
アジサイ約1週間花が重ならないようにする
マーガレット約1週間花びらが折れないよう注意
バラ1週間以上になることがある花びらの間にパウダーを入れる
ラナンキュラス1週間以上になることがある大きな花は形を整えて乾燥
水分の多い花花により調整下処理が必要な場合がある

乾燥時間は、短ければよいわけではありません。乾燥が不十分なまま取り出すと、後から変色や型崩れが起きやすくなります。一方で、必要以上に強く加熱したり、長時間高温にさらしたりすると、色の変化や焦げの原因になる場合があります。


室温と乾燥環境

花の乾燥には、室温も関係します。教材では、美しい乾燥花を作るには、一般的に室温が**20〜40℃**程度であることが望ましいとされています。室温が低いと乾燥に時間がかかり、退色することがある一方、40℃以上では黄ばむ植物もあります。初心者は、次のような環境で作業すると安定しやすくなります。

  • 直射日光が当たらない
  • 湿気が少ない
  • 極端に寒くない
  • 風でパウダーが舞わない
  • 作業台が平らで安定している

乾燥花の保管方法

乾燥させた花は、すぐに作品にしない場合、適切に保管します。乾燥花は湿気を吸いやすく、外気に長く触れると、やわらかくなったり、変色したりすることがあります。

保管に使うもの

  • 保管ボックス
  • 綿シート
  • フリルカップ
  • 乾燥剤シート
  • チャック付き袋

乾燥花は、傷まないように保管ボックスに入れ、乾燥剤シートと一緒にチャック付き袋などで保管します。乾燥剤シートが湿気を帯びてやわらかくなった場合は、再乾燥して繰り返し使うことができます。

保管時の注意点

  • 花同士を重ねない
  • 強く押さえない
  • 湿気の多い場所に置かない
  • 直射日光を避ける
  • 作品化する直前まで密閉しておく

乾燥に成功しても、保管で湿気を吸うと仕上がりが悪くなります。レカンフラワーは、乾燥後の管理まで含めて作品づくりと考えることが大切です。


ジュエルサンドパウダーの再乾燥

ジュエルサンドパウダーは、花の水分を吸収すると乾燥力が落ちます。使用後は、必要に応じて再乾燥してから使います。再乾燥には、主にホットプレートや電子レンジを使う方法があります。

ホットプレートで再乾燥する場合

ホットプレートで再乾燥する場合は、深めのトレーを使い、温度を調整しながら加熱します。目安として、ジュエルサンドパウダー500gで約30分、1kgで約1時間程度が再乾燥の目安とされています。加熱中は水蒸気が出るため、ふたの裏に付いた水滴を拭き取りながら状態を確認します。

電子レンジで再乾燥する場合

電子レンジを使う場合は、加熱しすぎに注意します。

電子レンジは短時間で加熱できますが、焦げや発煙の危険があります。
少量ずつ、短時間で様子を見ながら行う必要があります。

再乾燥時の注意点

  • 必ず換気する
  • パウダーを吸い込まない
  • 高温になった容器やパウダーに触れない
  • 子どもの手の届かない場所で作業する
  • 焦げや煙が出たらすぐに中止する

ジュエルサンドパウダーは細かい粉状のため、作業時には吸い込まないよう注意します。必要に応じて、マスクやメガネを使います。


作品に仕上げる流れ

乾燥花ができたら、作品に仕上げます。レカンフラワーは、花を乾燥させただけで完成ではありません。乾燥花をデザインし、密封して、長く楽しめる形にします。


初心者が失敗しやすいポイント

乾燥前の花が傷んでいる

花が傷んでいると、乾燥後もその傷みが残ります。保存したい花は、できるだけ早く乾燥に回します。

パウダーを一気にかける

ジュエルサンドパウダーを一気にかけると、花びらが折れたり、形がつぶれたりします。少しずつ、花のすき間に入れるように作業します。

乾燥が不十分なまま取り出す

乾燥が足りないと、取り出したあとに花が変形したり、湿気を吸いやすくなったりします。見た目だけで判断せず、花の厚みや中心部まで乾いているかを確認します。

乾燥花を外気に長く出しておく

乾燥した花は、外に出している時間が長いほど湿気を吸いやすくなります。作業中も、使わない花はできるだけ保管容器に戻します。


よくある質問

Q. レカンフラワーは初心者でも作れますか?

小さな作品であれば、初心者でも楽しめます。ただし、花の乾燥や密封にはコツがあります。最初は小花や花びらを使った作品から始めると、失敗しにくくなります。不安がある場合は全国にいるレカンフラワーインストラクターの講座受講をお勧めします。

Q. 乾燥には何日くらいかかりますか?

小花の場合、常温で約1週間が目安です。
バラや水分の多い花、大きな花は、それ以上かかる場合があります。花の種類、室温、湿度、花の状態によって調整します。

Q. ジュエルサンドパウダーは何度も使えますか?

再乾燥すれば繰り返し使えます。ただし、乾燥力が落ちてきた場合や、花くず・ゴミが混ざった場合は、状態を確認して交換します。

Q. 生花ならどんな花でも使えますか?

多くの花を使えますが、花によって向き・不向きがあります。
水分が多い花、花びらが薄い花、色が変わりやすい花は、下処理が必要な場合があります。

Q. 乾燥後の花はそのまま飾れますか?

乾燥花をそのまま飾ると、湿気や空気の影響を受けやすくなります。
レカンフラワーとして長く楽しむなら、フレームやボックスなどに密封して作品化するのがおすすめです。

Q. 電子レンジで乾燥させてもよいですか?

電子レンジを使う方法もありますが、加熱しすぎると焦げや発煙の危険があります。
初心者は常温乾燥から始め、電子レンジを使う場合は少量ずつ慎重に行います。


まとめ

レカンフラワーの作り方は、単に花を乾燥させるだけではありません。

花を選び、状態を整え、必要な下処理をし、ジュエルサンドパウダーで乾燥させ、保管し、作品としてデザインし、最後に密封して仕上げます。

初心者がまず意識したいのは、次の5つです。

1. 新鮮な花を使う
2. 花に合った下処理をする
3. パウダーは少しずつ入れる
4. 乾燥後は湿気を避けて保管する
5. 作品にしたらしっかり密封する

レカンフラワーは、花の色や形を生かしながら、思い出を作品として残せるフラワーアートです。

最初は小さな花や花びらを使った作品から始め、慣れてきたらボックス、ボトル、フレーム作品へと広げていくとよいでしょう。